十字架の道行き 第九留

第九留 イエズス三度(みたび)倒れ給う『公教会祈祷文』カトリック中央協議会編 昭和34年度版より

      
          G・リッチ作 ピエタの習作(『聖骸布にもとずく十字架の道行き』p37)

 ああキリストよ、主は尊き十字架をもつて世をあがない給いしにより、
 ▲われら主を礼拝し、主を讃美し奉る。

 主はカルワリオの上にいたりてまた倒れ給う。そは人々がかかる苦難を無益になさんことを思い給い、御心(みこころ)細(ぼそ)きあまり、深く悲しみ給えばなり。されど主はいずこまでも人々を助けんとて苦難を耐え忍び給う。
 ▲主イエズス・キリスト、主は何故(なにゆえ)に幾度(いくたび)も倒れ給いしぞ。これ全くわれら幾度(いくたび)も罪を犯し、たとい痛悔を起(おこ)すとも、また重ねて罪に陥るが故なり。主は三度(みたび)の後(のち)は倒れ給わず。さればわれらをして、主の御功力(おんくりき)によりて、この後(のち)再び罪を犯さざらしめ給わんことを、ひたすら願い奉る。アーメン。

(主祷文) 天にましますわれらの父よ、願わくは御名の尊まれんことを、御国の来らんことを、御旨の天に行わるるごとく地にも行われんことを。▲われらの日用の糧を、今日われらに与え給え。われらが人に赦す如く、われらの罪を赦し給え。われらを試みに引き給わざれ、われらを悪より救い給え。アーメン。
(天使祝詞) めでたし、聖寵充ち満てるマリア、主御身と共にまします。御身は女のうちにて祝せられ、御胎内の御子イエズスも祝せられ給う。▲天主の御母聖マリア、罪人なるわれらのために、今も臨終の時も祈り給え。アーメン。
(栄唱) 願わくは、聖父と聖子と聖霊とに栄えあらんことを。
 ▲始めにありし如く、今もいつも世々にいたるまで。アーメン。

 主われらをあわれみ給え。▲われらをあわれみ給え。
 願わくは死せる信者の霊魂、天主の御あわれみによりて安らかに憩わんことを。▲アーメン。
 ああ聖母よ、▲十字架にくぎ付けにせられ給える御子の傷を、われらの心に深く印し給え。

▲:皆で唱える。

聖骸布にもとずく十字架の道行き』モンシニョール・ジュリオ・リッチ著 小坂類治、マリア・コスタ訳(ドン・ボスコ社 1976年刊)より

第6留 3度目に倒れる

      右眼窩部付近一帯に生じた皮下溢血。

 3度目に倒れた時には、右のほう、右の眉毛の上と頬にあたったようである。他の2人の死刑者もだんだん力が尽きてきて、3度目には、とてもはげしく地面にぶつかったことは疑いない。はげしい打撲によって生じた溢血によって、わからなくなるほど右の目はみにくくなってしまった。