知恵の書から (聖書 フェデリコ・バルバロ訳 講談社)

だが、死の試練は正しい人々にも下った。  *20   
多数の人は、荒れ野で死に倒れたが、
神の怒りは長くは続かなかった。
とがのない一人の男が、すぐ、彼らを守って立った。  *21    
祈りと償いの香という、
聖職の武器をとり、
神の怒りに向かい、
この災難を閉じさせた。
こうして、彼は主のしもべであることを示した。
彼が災難を閉じさせたのは、
肉体の力のためでも、武器の力のためでもなかった。
罰するお方の御手の力を鈍らせたのは、ことばによってだった、  *22
先祖への誓いと約束を思い出させることによって。
屍が山のようにうず高くなったとき、
彼はその真ん中に分け入り、  *23
神の怒りをなだめ、
生者への道をくい止めた。
彼の長い祭司服には、  *24
全宇宙が入っていた。  *24b
父祖の光栄ある名は、  *24c
四本の筋の宝石に刻まれ、
頭上の冠には、主のみ力が記されていた。  *24d
破壊者は、それを見て恐れ退いた。
あなたの怒りをしばし経験したことだけでかれらには足りた。

*20 コレ、ダタン、アビロンの反逆の罰
*21 アロンのこと。「とがのない」といわれるのは、彼が神に選ばれ、いつも神に忠実だったからだ。
*22 「ことば」は、祈りのこと。
*23 生者と死者との間。特に怒る神と、罪人の人間の間。
*24 かかとまである長袍。
*24b フィロンと歴史家ヨゼフスのいうとおり、その祭司服には全世界のかたどりがあった。
*24c 「父祖」は、ヤコブの子ら。十二部族の父祖。
24d 大祭司帽には、黄金の板がついていて、「聖なるもの、ヤベ」と書かれていた。
(18章20~25節)