知恵の書から 2 (聖書 フェデリコ・バルバロ訳 講談社)

主の民は、不思議な旅をしたが、
彼らは、異常な最期にあった。
主の子らを災いから守るために、
被造物はみな、主の命令に服し、
新しい性質を帯びた。
雲は、その影で野営地を覆い、
陸地は、今までの水のあったところから浮かび出、
荒波は、草原に変わった。
御手に守られて、民はみな、
驚くべき奇跡を目にしつつ、そこを通った。
民は、若馬のように食糧を食べ、
主よ、解放者である主を祝しながら、
羊のように飛び跳ねた。
彼らは、異国で見たことを思い出した、
蚊が生きものから生まれるのではなく、土地から生まれ出ていたこと、
数知れぬかえるが、水生の生き物から生まれるのではなく、
川から吐き出されていたことなどを。
腹がへって、うまい食べ物をこうたとき、
彼らは、鳥が珍しい物から生まれるのを見た。
民の腹を満たすために、海からうずらが生まれたのだった。
(19章5~12節)

元素が、それぞれの性質を変えた、*18
竪琴のように音調はそのままながら、
リズムが変わるように変わった。
出来事を調べると、ことは明瞭である。
陸の生き物が、水生の生き物となり、
泳ぐものが、陸の生き物となった。
火は水をかぶるといっそう勢いを増し、水は火を消す力を忘れた。
一方、炎は、その中を歩く弱い生き物の肉を焼くこともなく、
霜のような、溶けやすい、
天からの食べ物も、溶かさなかった。
主よ、そうだ、あらゆる方法で、主は民を偉大なものとし、彼らに栄光を与えられ、
民を見捨てることなく、どんな時もにも、どんなところでも、保護を下された。

*18 奇跡は、宇宙の秩序を乱すものではない。それは、宇宙の調和に多彩さをそえる。
ちょうど音楽家が、音調を変えずに、いろいろなリズムをかなでるのと同じだ。
神は、被造物の性質を変えずに、異なる結果をひき出すことができる。
(19章18~22節)