十字架の道行き 第十留 

第十留 イエズス衣をはがれ給う『公教会祈祷文』カトリック中央協議会編 昭和34年度版より

   
 ああキリストよ、主は尊き十字架をもつて世をあがない給いしにより、
 ▲われら主を礼拝し、主を讃美し奉る。

 ユデア人(びと)らはカルワリオにおいて主の御衣(おんころも)をはぎまいらせたり。その時御衣は御傷(おんきず)に付着して痛さに堪え給うべくもあらず、御頭(みかしら)のいばらの冠(かんむり)もさわりなりとて取り除(の)けしを、またもとの如く押しかむらせまいらせたり。そはいと苦しきことなれども、群衆の前にはだをさらさせ給いしは、なおこれにまさりて苦しげに見えさせ給う。
 ▲主イエズス・キリスト、御心(みこころ)に適(かな)わざることわれらにあらば、御衣(おんころも)の如く脱がしめ給え。わけても高慢、じやいん、どんよくなどの悪しき心を除き、聖寵の衣を着せ給わんことを、ひたすら願い奉る。アーメン。

(主祷文) 天にましますわれらの父よ、願わくは御名の尊まれんことを、御国の来らんことを、御旨の天に行わるるごとく地にも行われんことを。▲われらの日用の糧を、今日われらに与え給え。われらが人に赦す如く、われらの罪を赦し給え。われらを試みに引き給わざれ、われらを悪より救い給え。アーメン。
(天使祝詞) めでたし、聖寵充ち満てるマリア、主御身と共にまします。御身は女のうちにて祝せられ、御胎内の御子イエズスも祝せられ給う。▲天主の御母聖マリア、罪人なるわれらのために、今も臨終の時も祈り給え。アーメン。
(栄唱) 願わくは、聖父と聖子と聖霊とに栄えあらんことを。
 ▲始めにありし如く、今もいつも世々にいたるまで。アーメン。

 主われらをあわれみ給え。▲われらをあわれみ給え。
 願わくは死せる信者の霊魂、天主の御あわれみによりて安らかに憩わんことを。▲アーメン。
 ああ聖母よ、▲十字架にくぎ付けにせられ給える御子の傷を、われらの心に深く印し給え。

▲:皆で唱える。

聖骸布にもとずく十字架の道行き』モンシニョール・ジュリオ・リッチ著 小坂類治、マリア・コスタ訳(ドン・ボスコ社 1976年刊)より

第9留 イエズスは衣服をはぎとられる

 「彼らは、くじ引きをしてイエズスの服を分けた。」(ルカ23・34)
撓骨(とうこう)側の手首の神経の所で左前腕に、同じ手首の釘あとの傷と平行な血の流れを示している。しかし、左手の釘の傷から出た血(35度の2筋の小さな流れ)は、うつぶせかげんと背伸びかげんの2つの動作を示しているが、この撓骨側の手首の流れは、兵士が荒々しくイエズスの下着をはぎ取った時に、新たに流れ出たものだと思われる。
 十字架の横木をはずしたとき、下着は、十字架からおさえつけられて、前腕に密着してしまっていた。横木をほどいて、下着をはぎ取るまで、傷は下着にくっついていたので、そこですぐ十字架につけられて、少しの血が噴き出てきて、2つの流れの向きを示した。その時、手首の釘の傷からの流れと平行になってきた。

 
聖骸布の人の前腕は、平行の血の流れを示している。