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ギリシャ正教のカレンダーでは: 聖金曜日

 わが主、わが復活、わが祝福よ、
 聖なるみ前では 不足するものが何もありません、
 主よ、あなたが口を開いて 話しかけられると
 その口もとよリ溢れる光に 私は浸されます。
 わが典礼、わが連祷よ、
 英知の光が、ごらんなさい、そこにお立ちです。

 今日もまた、私のために 無実の血が流された日、
 そしてサタンが聖なるみ名に 毒の唾を吐きかけている間に、
 お慰めし 礼拝しようと、私は御もとを訪れました。

 ああ、神の子羊よ、鞭打つ者たちを
 あなたは 打ち倒しもせず、鞭を置くようにと
 命令もされませんでした。
 「あなたの殴打に 疲れ果てた」
 と嘆願するために 口を開かれもせず 
 苛(さいな)む者たちには 沈黙されたままでした。
 み心のうちは ご受難の苦しみに満たされていましたから。
 あなたは 沈黙を守られました、
 すでに悲嘆にくれている、天使たちの怒りを
 燃え立たせないよう 沈黙を守られたのです。

友人たちも仲間たちも 私の傷にたじろいで身を退き 最愛の者たちも距離をおいた…

彼らは私を見捨てたのだ…

十字架を担っている間、倒れないように 私の歩みを支えるためにすら、彼らはそこにいなかった。 心臓は動悸を打ち 力が失せてきた。 眼からは 光が消えていった。 乱暴な男たちが攻め立て、唇に剣して 叱りつける中、我が心は我がうちで もだえ苦しんでいた。 もし私が望めば 天使たちに頼んで、鳩のような羽を与えてもらい、飛び立って休息を見いだし 侮辱の嵐から避難することもできただろう、しかしすでに私は 御父に呼ばれた時、お答えしていた。

 御父は 懇願を聞かれて
 あなたへの敵意から解放し ご自分の平安を与えられました。

 偽りの証人たちが立ち上がりましたが、それでも あなたは
 この人びとが病気で死にかけていたときは 涙を流されました。
 母親の死を悼む人のように、彼らを思って泣かれたのです。

 十字架を前にして、恥も不名誉も顧みず
 苛む者たちを前に、あなたは御父にふたたび叫ばれました。
 「エリ、エリ、レマ、サバクタニ?」

 しかし御父の眼差しは 私たちの上に向けられ、
 人類すべてをごらんになって、哀れみをかけられました…
 こうしてふたたび 御父は あなたの唇にのぼった懇願を否定されたのです
 ゲッセマネで あなたの懇願を否定されたように。
 ヤハウェは 聖所の高みから屈んで地上を見下ろし、囚われ人たちの溜息を
 聞かれた そして死に定められた者たちを解放するために、

 ご自分の独り子を 犠牲にされたのです…

そう、実に、御父は あなた方の贖いの賜物として 私と我が全意思とをあなた方皆に与えた。

 それでも、聖なるお方よ、
 御父のうちに一つであられ 御父もあなたのうちに一つであられる
 あなたは、十字架上で、私のために、
 取り囲む人びとの笑い草 ご自分の民の
 もの笑いの種となられました。
   I AKRA TAPINOSE*    *ギリシア語で、究極の謙遜。


ヤハウェが救うだろう」と彼らは言った。 「ヤハウェがもし友達なら ヤハウェに救い出してもらえばいい!」しかし私は、まるで耳が閉ざされたように、何も聞かず、口がきけない人のように、一言も言わなかった。 何も聞こえないために、賢い答えができない者のようだった ♡ 少しずつ力が失われ、眼の光は失せていた。

 ああ 主よ、私たちが躓(つまず)くときは、力強いみ手で 救い上げて下さいます、

 けれど、磔(はりつけ)に向かう、あなたが、転ばれても、
 群衆が駆けよって はやし立て、まわりに押しかけました。
 顔見知りでないよそ者も ひっきりなしにあなたを引き裂いて。
 初めて倒れたときは、あなたを囲み、彼らは歯ぎしりしました。
 あなたがすでにご自分の霊を手放され 磔にはたどりつけないだろうと考えて

地上はおののいて揺れ、山々の基(もとい)はうち震えた。
「私は 我が契約を破棄しない。
与えたみ言葉は 取り消さない。
我が聖性に 私は誓った、これからはずっと …
永久に 我が治世を永らえさせる。」

 こうして聖別されたお方は ご自分の霊を明け渡されました。
 一本の河*があり その流れは至高なるお方の住まい**を聖化します。

   * 川: 聖霊。 ** 住まい: 神は 私たちのうちに住まわれます。

そして神が その都市*のうちにいるなら、それは陥落することはない。 今日、この危機に際し、悪霊はその全ての仲間を集めてあなたに歯向かわせ、高貴な生まれの者に 侮辱をあびせているが、私もまた我が選びの者たちを呼び集める、教会を発展させて押し進め、多くの我がこどもたちをその中で 栄光に入らせるのが 私の目的であるがゆえ、私自身が苦しみをくぐり抜け 将来私につき従い我が骨からの骨、肉からの肉となって 兄弟姉妹のために贖いつづける者たちの最初の模範となるのが 正しいことに思えた。

 *都市: 私たちが神の都市です。

私は 我が救いの計画のために 預言者たちをたえず任命し 真理の道を歩ませてきた。 神との魅惑的な出逢いのときにその口にのぼった高貴な誓いを 成し遂げさせる。 私への大いなる愛と、我が救いの計画に身を投じるという 高貴な決意によって、彼らが認めてくれたとき、私は一歩進み出て、我が王笏で 私自身受けたのと同じ印を、彼らにも印して、私を肖(かたど)らせ 我が似姿とした ♡

私を真に受け入れた者たちは皆 私を恥とはしない。 もはやこの世には属さないという天国の印も 恥とはしない。 今日 彼らは、私の家、彼らを飾る我が家、その我が家への熱意、苛(さいな)むような熱意によって見分けがつく。 私のために侮辱や悪口も耐え、唾(つばき)せられ迫害されても耐えているのを見て 見分けがつく。 そう、彼らは私のために 泥の中を引きずられ たえず脅かされるのもあえて引き受ける。 困難からも顔をそむけず あらゆる試練を平安のうちに耐え忍ぶ その心はつぶれることなく聖化されよう。 我が十字架を分かち合うという忠誠の誓いも 彼らは破らない。

それでもし たまたま彼らの傷に気づいて

「誰がその傷を負わせたのですか?」と尋ねるなら 彼らは皆こう答えよう:

「あなたの贖いのために 背を差し出しました。 この残忍な傷は 主の友人たちの家で負ったものです…真実を述べてきたので私は敵視され 敵の扱いを受けました。 この人びとは愛の掟を守らないことで 救い主の十字架への迫害を逃れたいのです。 けれどかまいません 傷も気に掛けてはいません 私にとって重要なのは、私たちを贖う道具である十字架を知ることですから。 その贖いを通して世間が もはや私にとって磔にされ 私も世間にとって磔とされている、贖い主の十字架を。*  神への従順は 人への従順に優先する、と聖書*1 に書かれていますので 私は天より与えられた指示に 従順に従ったのです。」
「あなたに傷を負わせ あなたの主の友人だというその人たちが、征服者としてあなたに臨んだときは 何と言いましたか?」

* ガラテア書 6・14。 *1 使徒行録 5・29。

「私になぜこうしたことが起きたかを 自問したことはありません、私たちの贖い主なる神に 誓いを立て、救い主の奴隷になると 私自身の血でサインしたからです。」

「このすべてに あなたの神なる主は 何と仰しゃっておられますか?」
「万物のうちに遍在しながら その限界にはとらわれないお方は ご自分の家を深く悲しんでおられます。 ご自分の羊飼いたちの多くが お家を廃墟にさせたからです。 彼らは反逆して主の決まりを踏みにじり 栄えある牧場を荒廃させました。 ぶどう畑全体も 荒れています。 そして羊の群れは 食(は)む青草のない不毛の地しか見いだせずに、衰えて、死にました*2、同時に 羊飼いたちも 一緒に死にました…こうしたことが起きていても この人たちは誰も 真剣に受けとめていないようです。 人間的な決まりに悩まされて 主の期待には応えていません。」

 *2 霊的に。

「どうしてそれほど多くのことが分かり 見えるのですか?」

「十字架の光を通してはじめて 目には見えないものごとが理解できるのです。 私たちの贖いの道具であり救い主であるお方の目を通して その意味する一切が見えてきます。けれどこうしたことに関しては、キリストとの聖なる一致によって、主と一つになり、また《キリストの奴隷》と印されるのを受け入れてはじめて キリストご自身の口を通して こうしたことを知り得るのです、そうです、神の奴隷となるのを受け入れて。 心はその時 イエスの聖なるみ心に移植されるだけでなく、十字架にも そのすべての果実を伴う十字架にも いわば接ぎ木されます。 その果実には悲しみもあるでしょうが、悦びもあるのです。 私はキリストに そして十字架に属していると 確信します、主がそう仰しゃいましたから …

神なる主は 花婿でもあられ、ご自分のみ心に私たちを植えられます そしてそのみ心のうちに 根を張り生い茂るなら、私たちはふくよかな 善い実をつけます。 み国の跡継ぎ 与(あずか)りによって神々となり、養子とさせていただけるのです。

神は 私に知識を拒まれません、むしろ面と向かって、単純な言葉で話しかけられます、そしてお声は 耳もとに楽の音と響き、荘厳に力強くご自分の思いを語られ、知性を照らして 金言の秘められた意味を分からせて下さいます そして悦び ほほ笑みながら 私たちの目には隠されていた 聖書の中の謎めいた言葉を解かれるのです。

そう、主のなさる全てには それにふさわしい時があります。 主なるわが神はその神聖な口づけで私を封印されました、ご自分たちの十全な神性のうちに私をさらに引き入れるため 私の霊魂に聖なる三位一体の印を押されて、封印されました。」

ああ、ヴァッスーラ、御父がどのように あなたを教え導かれたか 分かったであろう? では歓び 感謝しなさい!

 あなたは 王の玉座とその栄光を後にし、
 私たちに仕えるため 奴隷の身となられました、主よ。
 これまで王が自分の僕たちに 仕えたためしはありません。
 けれども永遠の王、王の王なる、あなたは来られて
 ご自分の僕たちに仕えられたのです …
 あなたは肉のうちに 見える者となられ
 霊によって証言され、天使たちには見られ、
 異教徒たちに 述べ伝えられ、
 栄光のうちに取り上げられたと 人びとの間では信じられています…
 あなたは 群衆を憤慨させるほどの 並はずれた愛をもって
 被造物を飾りに来られ、十字架を 引き受けられたときは、
 口開いた墓のように 多くの口を 開いたままにさせました。

 私たちへの愛に満ちあふれるあなたは、
 天を開いて 罪の枷(かせ)から私たちを解放しようと、死を受け入れられ
 その聖血をもって あなたの花床*を灌漑するのを受け入れて下さいました。

 御父 - の - 悦びよ、み心からは 忠実な愛の流れが溢れ出し    *霊魂たち。
 その愛の狂気にあって、人類の恋人よ、
 十字架の恥辱と、そのすべての苦しみを受け入れられたのです。

 ああ 宇宙の源泉よ、宇宙を香らせる、
 まこと愛すべき花婿よ、
 あなたは ふたたび地上を訪れ、
 次々と国々を 香らせておられます。

 けれどいつまで この地球をさまよう人びとは
 あなたの香りに 気づかずにいるのでしょう?

私は徳ある者たちが入って来る 門。 悔い改めて償いを果たしたときはじめてその鼻孔が開いて 私の甘美な薫りを吸い込んで生き返る。 あなたには、百合のようであってほしい、私が 十字架の死を通して 買い取った我が家の上に 清さとミルラを抽出し 我が家に滴らせてほしい。 あたり一面その香りを振りまけるよう 私のそばにいなさい。 そっと優しく 私の十字架を担い それに絶え間なく魅了されているように ♡
私の平安を受けなさい。 ic 

『信徒通信』今月号 預言欄に掲載