『手記 -世紀末の黙示録- 抜粋』 マリア・ヴァルトルタ著 (天使館発行)より 3

…イエズスは更に言われる。
「いつかわたしは貴女にこう言った。今日のこの悲劇のなかでサタンの軍勢はすでに動きはじめ、彼は配下の黒い天使たちを送って地上の国々を互いに敵対しあうように揺さぶりをかけている。超自然的な戦いがすでに始まっている。それはある。人類の小さな戦争の舞台のそでの背後に。
 巨大な広がりに対して小さいのではなく、その動機に対してなのだ。戦争の発端は人間の小さな動機ではない。そうではない。兄弟たちを互いに咬み合い殺し合う多くの野獣に変える真の動機は、それとは別の動機だ。
 あなたたちは、あなたたちの肉体と相互に闘っている。しかし実際には互いにいがみ合っているのは霊魂だ
。あなたたちは四人か五人の有力者の命令に従って相争っている。そう思いこんでいる。そうではない。この破滅の執行人は一人だ。それは、あなたたちがそう望むので地上にいるただ一人の存在だが、実際には地に属する存在ではない。それはこの殺戮の糸を操っているサタンだ。この殺戮において死ぬのは、肉体ではなく霊魂だ。
 これは緒(いとぐち)になるいろいろの戦いの一つである。反キリストの王国は強固なものになるために血と憎しみを混ぜ合わせたセメントを必要とするのだ。

 そしてあなたたち、もはや愛するすべを知らないあなたたちは、互いに殺戮し合いながら反キリストにしかるべく仕え、このあなたたちの悪についてはまったく責任のない者、すなわち神を呪っている。その神は自分のもの、すなわちキリスト教徒たちの心のなかにある信仰と善良な人々の心の中にある善意を守るために天使たちと共にこれと闘っている。
 さしあたり、選別を行うのはわたしではない。あなたたちを自発的に選別するのはあなたたち自身だ。恐怖に耐えて、神が常に神であることを、つまり善と正義であること、また救いが神の律法の遵守にあることを理解する人々は、これらの真理を否定する人々とは袂を分かつ。前者は光と出会うために上昇し、後者は闇に向かって墜落する
 サタンはほんとうに、手下の悪魔たちを引き連れ、天にふたたび昇ることを目指している。だが、わたしの大天使に押し返されて地上に墜落する。そこで神の子供たちの心を通して、神を征服するためである。なぜなら霊魂が失われるごとに、神の敗北となるからだ。サタンはたやすくそのことに成功する。というのも人々の心には、もはや霊の焔が燃えていないからだ。彼らの心にはもう霊の生命が宿っていない。そこは霊魂を殺す三重の現世欲が栄える罪の合流点である。
 子羊の血の最高の力によって勝利し、常に忠実である、またありつづける人々は幸い。サタンとその甘言をしりぞけ、その見掛け倒しの勝利と、その呪いの王国が短命であることを知る彼の、今この時とばかりの全力投球を気にもかけず、キリストと、その教会、すなわち、反キリストの迫害によって四つ裂きにされ、その花婿である偉大な殉教者、十字架上のキリストと同じように、不屈の殉教者である、死んだように見えたが、前よりもさらに美しくなって甦り、栄光化され、婚姻を執り行うために真の教皇が待ち受けている天に入る教会に忠実であり、忠実であり続ける者たちは幸いである。」
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