『おとめマリアのロザリオ』福者ヨハネ・パウロ2世教皇の使徒的書簡


教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡
『おとめマリアのロザリオ』(ROSARIUM VIRGINIS MARIAE)第三章より 11

37 導入と結び
 現在、教会のさまざまな場に応じて、ロザリオの導入として多くの形式が用いられています。ある地域では、次の『詩編』70の冒頭のことばから始めることを習慣としています。「神よ、速やかにわたしを救い出し、主よ、わたしを助けてください」。それは、謙遜に自分の貧しさを認め、糧を与えてくださるように祈り求めるためです。別の地域では、ロザリオを使徒信条(信仰宣言)で始めます。そこでは、信仰告白を、これから始めようとする観想の旅の出発点としています。これらの、また同様の習慣は、観想に向けて心の準備を整えてくれるかぎりにおいて、同等に使用が認められます。そして、ロザリオの結びには、教皇の意向のために祈ります。これは、祈る人が、教会が必要としているあらゆることにまで自分を広く目を向けることができるようにするためです。ロザリオが教会のための祈りであるというこうした側面を奨励するために、教会は、ふさわしい態度でロザリオを唱える人に免償を与えているのです。このようなしかたで祈るとき、ロザリオは真に霊的な道行となります。その道行の中で、マリアは母、教師、また導き手となり、その力強い執り成しによって信者を支えてくださいます。それゆえ、ロザリオを唱え終わり、マリアの母としての愛を深く味わった魂が、心から聖母を賛美したいという欲求を覚えたとしても、なんら不思議はありません。この賛美として、美しい「サルヴェ・レジナ(元后あわれみの母)」の祈り、または聖マリアの連願が行われます。これがロザリオの内なる旅の完成のときだということができます。そのとき信者は、キリストと聖母の秘義との生きた交わりへと導かれるのです。