『おとめマリアのロザリオ』福者ヨハネ・パウロ2世教皇の使徒的書簡

教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡
『おとめマリアのロザリオ』(ROSARIUM VIRGINIS MARIAE)第三章より 10

35 短い結びの祈り
 最近では、三位一体の栄唱の後に、地域の習慣によって形はさまざまですが、短い結びの祈りを唱えます。こうした祈願に価値がないというわけではありません。しかし、次のことをいっておくのは意味があるだろうと思います。すなわち、神秘の観想は、各神秘の結びに、各神秘に固有の恵みを祈るように工夫することによって、いっそうその豊かな霊的恵みを表すものとなるだろうということです。このようにすれば、ロザリオはキリスト者の生活とのつながりをいっそうよく表現できるようになるでしょう。次に示すミサの美しい祈りもそのことを示唆しています。そこで祈るよう招かれているのは、ロザリオの神秘の黙想を通じて、わたしたちが「そこに含まれているものにあやかり、そこに約束されたものを得る」ことができる恵みです。
 このような結びの祈りには、当然、さまざまな形がありうるでしょうし、実際、すでにさまざまなものがあります。このようにして、ロザリオは互いに異なる霊的伝統、互いに異なるキリスト者の共同体のそれぞれにより適合した形をとることが可能となります。その意味で、司牧的な吟味を経ることが必要ですが、たとえば、特別にロザリオにささげられた聖地や聖堂で試験的に使用してから、すぐれた式文を周知させることは望ましいことだと思います。そうすれば、神の民は、豊かで正統な霊的富の恩恵にあずかり、個々人の観想を養う糧を見いだすことができるでしょう。