祝 聖トマス・アクィナス司祭教会博士の記念

1. PANGE LINGUA ♫
  ♬ パンジェ・リングワ  ラテン語でうたうとき、カトリック聖歌集 #521。

1.  いざ歌え、わが舌よ、               Pange, lingua, gloriosi
  光栄ある主のおん体と               Corporis mysterium,
  尊いおん血の奥義を。               Sanguinisque pretiosi,
  祝福されたおん母のみ子、             quem in mundi pretium
  万民の王が世の救いのために、           fructus ventris generosi
  おん血を流してくださいました。          Rex effudit Gentium.

2. 汚れなきおとめから生まれて、           Nobis datus, nobis natus
  わたしたちのために与えられた主は、        ex intacta Virgine,
  この世に住まわれ、                et in mundo conversatus,
  みことばの種をまき、               sparso verbi semine,
  地上でのご生活を                 sui moras incolatus
  みごとに完成されました。             miro clausit ordine.

3. 最後のばんさんの夜に、              In supremae nocte coenae
  兄弟たちと共に食卓につき、            recumbens cum fratribus
  律法のおきてに従って、              observata lege plene
  すぎこしを食べ、                 cibis in legalibus,
  ご自身をおん手ずから、かてとして、        cibum turbae duodenae
  12人の弟子に与えられました。            se dat suis manibus. 

4. 肉となられたみことばは、ひとことばで       Verbum caro, panem verum
  まことのパンをご自分の肉に、           verbo carnem efficit:
  ぶどう酒をキリストのおん血となさいます。     fitque sanguis Christi merum, 
  五官はこれを悟り得なくても、           et si sensus deficit,
  純粋な心を堅く信じさせるために、         ad firmandum cor sincerum
  信仰だけで十分です。               sola fides sufficit.

以下ラテン語でうたうとき、カトリック聖歌集 #561-568
   タントゥム・エルゴ。 ♫ Tantum ergo

5.  これほど偉大な秘跡を               Tantum ergo Sacramentum
  ひれ伏して拝みましょう。             veneremur cernui:
  いにしえの祭りが、                et antiquum documentum
  新しい祭式に変わりますように。          novo cedat ritui:
  信仰が五官の不足を                praestet fides supplementum
  おぎないますように。               sensuum defectui.  

6.  おん父とおん子に                 Genitori, Genitoque
  讃美とほまれ、                  laus et jubilatio,
  ともに栄えと名誉と力と              salus, honor, virtus quoque
  祝福がありますように。              sit et benedictio:
  父と子から出る聖霊も               Procedenti ab utroque
  同じようにほめたたえられますように。 アーメン。 compar sit laudatio.  Amen. Alleluja.

『礼拝の聖時間』マテオ神父著「夜の聖時間」デルコル神父・江藤きみえ共訳より

1. PANGE LINGUA パンジェ・リングワ
 この賛美歌と次の二つの賛美歌は、聖トマス・アクィナスの作である。教皇ウルバノ4世にたのまれて作られたものである。教皇は、福者ユリアナ・ド・モンコルニョンのはげましを受け入れ、1262年のボルセナ市での聖体の大奇跡をみて、ご聖体の特別な祭日を制定することをきめ、当時オルビエト市に神学を教えていた聖トマス・アクィナスに新しい典礼文を依頼した。聖トマスはこの典礼文(ミサの典礼文と教会の祈りの典礼文)をみごとに作り、1264年6月19日の聖体の祭日に初めて使用された。当日聖トマス自身ミサでの説教を教皇の前でしたのである。
 この典礼文は、すばらしいものだと評価され、とくに賛美歌は詩的にすぐれていて、ご聖体の神秘をみごとにあらわしている。
 この3つの賛美歌は、ご聖体の制定とその本質を歌い、「ご聖体の中に主キリストご自身が現存し、ささげられ、拝領される」という教会の教えを明らかにしている。
 第1の賛美歌では、ご聖体におけるキリストの現存は歌われている。この現存こそ、ご聖体の土台である。ご聖体によって、人となられた救い主キリストは、世のおわりまで教会の中に残るのである。この現存は聖変化によって実現する(第四節)が、このために特別に礼拝すべきである。この理由で、この賛美歌の最後の2節は、聖体賛美式のときに歌われるのである。この賛美歌は、ご聖体の祭日の教会の祈りの晩歌で歌われる。

PANGE LINGUA GULORIOSI

〔第1節〕 最初のことば(パンジェ・リングワ、「いざ歌え、わが舌よ」)は、同じことばで始まる5世紀にさかのぼるもう一つの賛美歌—キリストの勝利をうたう賛美歌—からヒントを取って、ご聖体こそキリストの勝利を歌うものだというテーマをあらわしている。
「光栄ある」。主のおん体は、ご聖体の中に形態のもとにかくれているが、天国に光栄ある同じおん体である。
「奥義」。キリストのおん体とおん血は見えないが、実際に両形態のもとに現存しているから、まことの奥義、まことの神秘である。
「祝福された」。キリストのおん母のこと。それと同時に、「あなたのみ子も祝福された方です」(ルカ1・42)という聖エリザベットのことばを思いだしている。
〔第2節〕 「汚れなきおとめから」、予言者イザヤ(9・6)が予言したように、「神はおんひとり子をお与えになるほど、この世を愛された」(ヨハネ3・16)。
「この世に住まわれ」。バルク予言者のことばのとおり、キリストに当る「知恵は、地にあらわれ、人のなかに住まいをおいた」(3・38)。
「みごとに完成されました」。最後の晩さんのときに制定されたご聖体は、キリストの最大の奇跡である。
〔第3節〕 「兄弟たち」、使徒たちのこと。イエズスは使徒たちのことを「兄弟」と呼んでおられる(マタイ28・10。ヨハネ20・17)。
「律法のおきて…」。イエズスは、まずモイゼの律法に従って過ぎこしの晩さんをおこない、そのおわりにご聖体を制定された。
〔第4節〕 教義的に正確な節。聖変化をあきらかにあらわしている。
「肉となられたみことば」。「みことばは肉体となった」(ヨハネ1・14)。
「ひとことばで」、全能のそのみことばで。
「五官」。五官には、ただのパンとぶどう酒しか見えない。第五節の最後の句に同じことが強調される。
「信仰だけ」。ご聖体の秘跡は信仰の偉大な秘跡である。次の節にも同じことが強調される。聖アウグスティヌスがいうとおり、信仰とは、神のあやまりえないみことばにもとずいて、見えないことを信じることである。こうすれば、もっと大きな功徳になる、主がいわれたように「わたしを見ないで信じる人は幸いである」(ヨハネ20・29)。
〔第5節〕 結論としてすべきことを歌う。つまり、この偉大な秘跡を”ひれ伏して拝む”こと。旧約時代のいけにえや儀式は、新約時代のいけにえ(ご聖体)の前じるしに過ぎなかったので、まことのいけにえが実現すると、“いけにえの祭り”が新しい祭式(ミサ聖祭)に変わるのは当然である。
〔第6節〕 「おん父とおん子に」、中世紀の聖ヴィクトルのアダムスが作った作文から取った一句。これによってご聖体に対する信仰は、ずっと古い時代にさかのぼることを示す。三位一体に対する荘厳な賛美。