『おとめマリアのロザリオ』福者ヨハネ・パウロ2世教皇の使徒的書簡


教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡
『おとめマリアのロザリオ』(ROSARIUM VIRGINIS MARIAE)第三章より 7

32 主の祈り
 みことばを聞き、神秘に心を集中した後、心を御父へと向けるのは当然のことです。どの神秘においても、イエスはつねにわたしたちを御父へと導きます。なぜなら、イエスは父のふところにおられるので(ヨハネ1・18参照)、たえず父のほうを向いておられるからです。イエスは、わたしたちが彼とともに「アッバ、父よ」(ローマ8・15、ガラテヤ4・6)ということができるように、わたしたちが御父との親しい交わりにあずかることを望んでおられます。この御父との関係に基づいて、イエスは、ご自分のものでもあり、また御父のものでもある聖霊をわたしたちに与えて、わたしたちをご自分の兄弟・姉妹とし、またわたしたち同士をも互いに兄弟・姉妹としてくださいます。主の祈りは、「聖母マリアへの祈り」を繰り返しながらキリストとマリアへの黙想を行ううえでの基礎です。したがって、主の祈りを唱えることによって、たとえ一人で神秘の黙想をしていても、それは教会として行っているといえるのです。