主イエズスのカナにおける奇蹟 


十七、カナの婚宴
三日目に、ガリレアのカナに婚宴がありまして、イエズスの母はそこに居りましたが、イエズスも弟子等(たち)と共に招かれました。宴酣(たけなわ)にして葡萄酒がつきましたので、聖母はイエズスに向かひ『葡萄酒が無くなりました』と云ひました。するとイエズス様は『婦人よ、其は私と貴方とに何でありますか、私の時は未だ参りません』と申されました。そこで聖母は給仕等に向って『彼が汝等に言ふ事は何でもしなさいよ』と言ひ置かれました。さてユダヤ人の潔(きよめ)の習慣に随(したが)って、そこに二、三斗入りの石瓶を六個備えて置きましたが、イエズスは給仕等に『水を瓶に満たせよ』と命令しましたので、彼等は口まで満たしました。するとイエズスは又『今汲取りてふるまひ司(つかさ)に持って行きなさい』と云はれましたから持って行きました。ふるまひ司は酒に化(かは)った水を嘗(な)めて、給仕等は其の由りて来る所を知っているけれども、己は其れを知りませんでしたから、新郎を呼び、之に向かって『誰でも先づ佳酒を出して、酔ひが廻った頃に、劣ったものを出すのに、貴方は佳酒を今まで取って置いたですか』と云ひました。
是はイエズス様の奇蹟の始めでありまして、之をガリレアのカナで行ひ、御自分の光栄をお顕しなさいましたので、弟子等は彼を信仰しました。(ヨハネ二の一より十一)

原版ジェローム・ナタリス(1507~1580年)著『キリスト伝』
昭和4年(1929)宣教師マキシム・プイサン翻訳発行
『我天主イエズス・キリストの伝図解』No.17より

公現の祭日の朝の聖務日課(教会の祈り)
福音の歌(ザカリヤの歌)の交唱

 
  今日、花嫁 教会は、
  天の花婿と、一つに結ばれた。
  花婿 キリストが、花嫁 教会を、
  ヨルダン川で清めて下さったから。
  博士たちは、王キリストの婚宴に、
  急ぎ来て、捧げものを捧げた。
  婚礼の客たちは歓喜した。
  キリストが、水を葡萄酒に、
  変えられたから。

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上記、昔(かつて)唱われていた交唱を、ベネディクト会司祭から教えていただきました。