八月十三日 マリア賛歌

ヨハネス23世『わが祈りの日々』から 1960年8月13日の挨拶

マリア賛歌

聖母の特別の祝日を迎える日も、門前に迫った。「マリアは天にあげられ、天使も喜び歓声をあげて主を讃美す」。
この賛歌は、ここでだけ唱えられるのではなく、全世紀を通じてなりひびく。自然にマリアのことを考えることなしにイエズスの名をとなえることはできないことは、カトリック信仰の最も魅力的な特徴の一つである。
 最も感動すべき祈り、ことに幼児や臨終者の口からもれる場合に、感動的な祈りの一つに、アヴェ・マリア天使祝詞がある。あらゆる徳の秘訣は、そこにふくまれている。われわれのただ中にイエズス、マリアの現存することを信ずる人は、傲慢・怒り・悪への誘惑・隣人へのにくしみに陥ることはない。われわれはみな、あがなわれて、イエズスの兄弟、マリアの子となったのであるから、信者は善なるもの貴いものに向かうほかないのである。
 だれの生活にも、苦しみや不安がある。教会もまた試練や窮乏や迫害を甘受しなければならない。しかし「恐るるなかれ」という主の言葉がたえず心でひびいている。いつでも、ことに悲惨な日には、主は、その恩寵で、われらを支えてくれる。元気をなくす人もいよう。かれらは、キリストにそむくこともできると信じ、そのやさしい、しかし不可欠なきずなに、しばられまいとする。そして「かれがわれらの上に立って支配するのを欲しない」という。この行路のはて、かれらはふさわしい報いをうける。キリストは、十字架を高くかかげて、現代を勝利者としてまかり通りかれとともに、かれの母そしてわれらの母マリアも、通ってゆく。