聖母被昇天祭 前晩

貞 聖マリアの被昇天  一級大祝日 白

 聖母マリアの祝日の中で、最も荘厳で、恐らく最古の典礼は、帰天と被昇天との、本日の祝日である。被昇天の不思議な事実についての記録は極めて少ないが、古くからの伝承によってこう伝えられてきた。
 聖伝によると、神の無原罪の御母の死は、原罪の結果としての死の苦しみと恥とを負わなかったといわれる。聖母の死は、むしろ、死の勝利であった。これは、地上の生活から天の生命への、美しき移りであり、聖伝の言葉によると「平和の眠り」であった。
 なぜなら、原罪なくして生まれ、神の母たる聖寵によって、極めて神に近い聖母は、死の鎖にしばられえなかったからである。
 聖母マリアの被昇天に対するわれらの信仰は、われら自身の復活への希望を強め、人間生活の唯物論的な思想を排斥する一つの根拠ともなるのである。
 故に、教皇ピオ十二世は、1950年11月1日、聖母被昇天を、信仰箇条として、次のように宣言したのである。
 「神の無原罪の御母、終生童貞マリアが、地上の生活を終えて、霊魂と同時に身体をも天の光栄に上げられたことは、神の啓示による信仰の真理であると、余は、宣示し、明言し、定義する。」

主日のミサ典礼書』フェデリコ・バルバロ訳編 ドン・ボスコ社発刊 昭和39年度版より